2012年10月19日金曜日

ちょっといい話…でいいよね。

地下鉄での出来事。

私はというと、
デッカいリュックをしょって
手には、生け花の花材を
入れた長い花袋と
ずっしり重い紙袋を持って、
お気に入りのポッドキャストを
聞きながら
イアホンを両耳に入れて
優先席の前に立っていた。

その時にもよるが、
リュックを下ろして
荷物を抱えて座っても
降りる時にまた背負って
荷物を持ち替えて、
人をかき分けてというのが、
かえって面倒なので
立っていることが多い。
今日も、邪魔にならないように、
連結近くの優先席に
座っているご老人の前に
立っていた。

ある駅で、目の前のご老人が降車し、
別の男性のご老人が
私の目の前の席に座られた。
ふと見下ろすと、
そのご老人が私に向って
なにやら話しかけている。
慌ててイヤホンを外し、
聞き返すと、
意外な言葉が返ってきた。

「荷物お持ちしましょうか?」

「いえいえ大丈夫です…。」と
慌てて答える私。

荷物を抱えて立っている人の
前の席に座ったことを
申し訳なく思われたのかもしれないが、
複数の人間を恐喝し、
コンクリート詰めして殺すような
信じられない悪魔がいるこの国に、
こんなにも心やさしい人がいるのかと、
つり革を持ちながら
ウルウルしそうになっていた。

私が先に降りそうだったので、
「ありがとうございました」と声をかけ、
目があったので、軽く会釈して降車した。

駅の階段を登りながら、
女性ならまだしも、
オッサンに男性のご老人が、
情けをかけるのは、よっぽどのことで、
よっぽど、疲れ切ったヒドイ顔をして
立っていたのかもしれんと思うと、
複雑な気持ちになってきた。

いやいや、
とんでもなく心優しい人に
出会ったことには違いないのだから、
素直にちょっといい話...
ということにしておこう。

2012年10月4日木曜日

腹痛で放棄する人なんて...って言うけど

自民党総裁選で安倍晋三氏が選出された。

以前、首相の座をお腹が痛いからと
放り出した人を選ぶなんてと
揶揄されることがあまりに多い。

特に、
安倍氏を支持しているわけではないが、
命がけで一国の舵取りする立場で、
たかが腹痛ご ときでという
言われようには
一言書かずにいられない。

安倍氏は潰瘍性大腸炎を
患って政権を放棄したが、
今は新薬が認可され、
服用することで、
健康体になったと
本人の口から語られている。

かつて私も同じ病で10年以上苦しんだ。

文字通り大腸に潰瘍が出来る病で、
発病当時は厚生省指定の難病の一つで、
激しい下痢、発熱、下血が続き、
食べ物が大腸を通過すると
潰瘍に擦れて更に症状が悪化するので、
回復するまで点滴のみで栄養分を摂取し、
一切食べられない。
一日、20回以上トイレに駆け込む、
出た途端にトイレに入る状態で、
泣きながらトイレの前を
行き来したことを思い出す。
一旦回復しても、
食べ物を入れ始めるとまた再発、
再入院の繰り返しで、
10年目内科治療不可を宣告され、
大腸全摘手術を受け、
病気と縁が切れた。

一小市民である私と
一国を左右する立場の安倍氏を
一緒にはできないが、
これに近い状態で病を隠し、
オシメをしながら
日本の舵取りを続けることが
果たして正しい判断だったろうか?

それを職務放棄と責めることは
酷ではないかと思う。

ただ、潰瘍性大腸炎は、
初回で完治する人がまれにいるが、
再発するとほぼ完治にいたることがない。
薬を飲み続けているということは
完治していない可能性が高い。

私が調べたところでは、
この新薬は私が治療していた頃の
薬と成分に変わりはなく、
大腸に届いてから成分が溶け出すように
改良されたもののようだが、
薬は飲み続けることで、
効果が薄れることもあるし、
首相の重圧でストレスが増え、
病気の勢いが止められなくなったら
という心配は拭いきれない。

私は、免疫抑制剤である
ステロイドを併用していたが、
これも服用しているとすれば、
免疫力が低下し、
風邪などの他の病気になりやすいので、
更にこの国難を乗り切れるかどうかが心配だ。