2012年6月23日土曜日

終わりなき戦い2 ― 人生の縮図 ―

体外衝撃波尿路結石破砕術を終え、退院した。
痛み止めを入れていたためか、
さほどの痛みも感じず、
8年前に受けた時とそれほど
変わりがなかった。
結果的には、2.3cmの巨大な石のため、
ほぼ一時間衝撃波を受け続けたが、
わずかなカケラが出ただけで
全壊には至らなかった。
ヒビが入っていれば、
今後全壊する可能性もあるが、様子をみて
今後の治療方法を決めていくことになった、
まだまだ戦いは終わらない。

わずか3日の入院ではあったが、
入院すると様々な人生に遭遇する。
向かいの男性は、膀胱ガンで膀胱全摘、
小腸で膀胱を作ってつないであるが、
抗がん剤投与のため、再入院になった方。
隣の男性は、向かいの男性によれば、
同部屋の人間とは話しをせず、
看護婦とは嬉しそうに話すヤツだから
挨拶せんでいいとのこと...。
歩行困難でリハビリを行っているが、
どうやら身寄りは兄だけで一人暮らしらしい。
兄夫婦が面会に訪れたら退院するつもり
だったらしいが、兄嫁と思われる女性が、
「まず歩けないと無理だわねぇ。」
と何度も繰り返す声が、
カーテン越しに聞こえてくる。
明らかに、同居、看護に
難色を示しているのがわかる。
結局男性は、特に治療をしないまま、
入院が延長されたようだった。

かつて私が入退院を繰り返していた頃、
垣間みてきた人と人生を思い出した。
まさに、病院は人生の縮図。

夜中にけたたましい足音がして目が覚める、
隣の個室で医師や看護士が出入りしているようで、
緊張感が伝わってきてなかなか寝られない。
結局朝方、家族と思われる泣き声が
聞こえてきたことがあった。

大部屋の隣のベッドに入院される、
知的そうでしっかりされた老人が、
夫人を連れて挨拶に来られた。
一ヶ月後、夜中にトイレに行こうと
廊下に出ると、奇声をあげながら手すりを
外そうとしていて、看護士数人に
取り押さえられている老人がいた、
隣のしっかりしていたはずの老人だった。
その後、夫人に付き添われて個室に移っていった。

私と同じように入退院を繰り返す
障害を持った男の子がいた。
私が動けない時、
お茶を汲んできてくれたりするやさしい子で、
愛嬌もあって他の入院患者にも
人気のある子だった。
いつも入院する時は、彼がいるか探して、
退院する時も顔を見せてから病院を出る。
彼も同じようにしてくれた。

そんな繰り返しの中で、
外来で病院を訪れた時に、
ついでに病室を覗いてみると、
彼は入院していなかった。
悪化していないんだなと安心した時、
主治医が通りかかったので、
彼のことを尋ねてみると、
最近亡くなったと聞かされた。
肝臓が修復できないほど、
ボロボロになっていたそうだ。
彼がいた養護施設のそばを通るたびに、
彼の笑顔を思い出すようにしている。
もっと生きたかったであろう彼の笑顔が浮かぶと、
どんなにボロボロになっても、
生き抜かなければと思わされる。

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