2011年8月30日火曜日

映画「未来を生きる君たちへ」


映画「未来を生きる君たちへ」を見た。


原題はデンマーク語で復讐を意味するそうだが、

邦題はなかなかうまくつけられていると思う。


歯の矯正をネズミ口といじめられるエリアス、

母をガンで亡くし、転校してきたクリスチャン。

2人の少年を中心に物語が展開する。


誕生日が同じで隣りの席になったエリアスを

クリスチャンは助けようとするが、

逆に怪我をさせられる。

いままでいじめに屈していたエリアスに、

後日、殴り返して、学校で問題にはなるが、

結局は報復でイジメを封じたクリスチャン。


エリアスの父は、医師で、

虐待が繰り返されるアフリカのキャンプで

医療行為を行っている。

デンマークに帰ると子どもの喧嘩に

割って入った際に子どもの親に殴られるが、

殴り返すことをしなかった。

一緒にいたクリスチャンやエリアスには

殴り返さなかったことを弱虫と取られてしまう。

殴り返すことの無意味さを

子供達に話すが、うまく伝わらない。

それが更なる報復を生む。


正しいことはわかっている、よくないこともわかっている。


暴力での報復が更なる報復の連鎖を生むことを

私たちは歴史的に学んでいるはずだが、

今だに戦争がなくなることはない。

激しい怒りや悲しみをガンジーのように抑え込むことが

常にできるのでしょうか?

エリアスの父は確固たる信念に基づいて

行動しているわけではなく、聖人ではないことが、

後のアフリカでの行動でわかる。

怒りをあらわにすることが未熟な人間と非難できるだろうか?

監督は政治的な映画ではないと語っているが、

911で殴られたアメリカが殴り返す行動に出ている

ことにも疑問を唱えているようにも感じた。


負の連鎖が加速していくが、救いはあるので、

重いテーマであるにもかかわらず、心地良さが残る。


英訳タイトルは、IN A BETTER WORLD、

子供達に争いの少ない世界を残すことができているのかと

考えさせられる。


個人的には今年1番の秀作だったように思う。


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