2012年2月23日木曜日

死刑弁護人

前回の日記を書いた後、10月に放送され、
録画したまま見ていなかった番組を思い出した。

「死刑弁護人」(芸術祭参加作品)

光市母子殺人事件の被告を
弁護した安田弁護士のドキュメンタリー。
彼は、死刑反対論者で光市のケースのように
被告が犯行を認め、状況証拠もハッキリしている上で、
無期に持ち込もうとするやり方に
鬼畜などと呼ばれ、抗議の手紙なども
番組内で多数紹介されていた。

彼はかつては学生運動に奔走する活動家であった。
司法試験に合格した際も、裁判官や検事になるという
国家権力側に付くことは全く頭になく、
迷わず弁護士を選んだという。

そして、弁護士が敬遠しがちな話題性が高く、
不利な弁護を多く取り扱ってきた。

新宿西口バス放火事件
名古屋女子大生誘拐殺人事件
オウム真理教事件
和歌山カレー事件など。

決して勝ち続けているわけではない。

バス放火事件では、無期に持ち込んだが、
被告人は獄中で自殺した。

名古屋の事件は、被告は死刑判決を受け、
事件を起こしてしまったことを深く後悔しながら、
死刑は自分を最後にして欲しいと
安田氏に訴え死んで行く。
安田氏は処刑後の首に縄の跡がついた遺体を見ながら
救えなかった無力さを痛感したという。

オウム真理教の麻原被告は死刑判決を受ける。

和歌山カレー事件は、林被告から直接、
獄中からの手紙で弁護を依頼される。
この事件は、私個人も林被告の犯行なのか
疑わしいと思っている。
被告が犯行を否認しており、決定的な証拠がない。
林被告は、保険金詐偽で8億もの金を得ており、
決して善人とは言えない。
贅沢な暮らしをしている被告を
落としいれようとする人間がいても不思議はない。
安田氏は、これほどまでに金にこだわる人間が、
何の利益のない事件を起こすはずがないという。

カレー鍋の周辺で林被告が不審な動きを
していたという近隣者の証言は、
16m離れたカーテン越しの二階から
車庫のアクリル板の屋根を通して目撃したという。
安田氏の検証結果では男女の判別もつかなかった。
80人の捜査員で林被告の自宅が捜索され、
4日後にヒ素が発見されたが、
台所の流しの下に白蟻駆除と書かれた容器から
発見されたのだが、何故そんなわかりやすい場所で
4日もかかったのか?
林被告がヒ素をいれて運んだとされる
青い紙コップは、鑑定に出され、
ヒ素が検出されたが、証拠品として保管されている
紙コップは白だということがわかった、
これは捏造されたものではないか?
などという疑問点があるという。

彼は、世論を煽って事実を捻じ曲げて
しまうことがあるとして、
マスコミを極端に嫌っている。

カレー事件の報道が盛んな時期は、
林被告は犯人であるかのような
植え付けがあったように思う。
情報捜索されることは、大変怖いことだ。

このドキュメンタリーの中でも、
安田氏が雨に濡れないように
記者に傘をさしかけるシーンが挿入されている。
これだけでも安田氏に対する印象を
大きく変えてしまう。

私は死刑廃止に反対だし、
光市の事件での対応は死刑制度廃止に
絡んだ対応であって間違っていると思っている。

安田氏は、凶悪な犯罪を起こした犯人でも
必ず更生できると思うかとの問いに、
更生しないことが想像できないと答えている。
彼は性善説に基づいて行動している。

自宅にろくに帰らず、事務所にマットレスを引いて
弁護を続けている安田氏は、
弱者救済の人権弁護人なのだろうか?
死刑廃止を実現したいだけなのだろうか?

マスコミ報道に踊らされず、
客観的に情報を咀嚼しなければと考えさせられた。

だが、原発情報でもわかるように、何が正しいのか
正しくないのか判断することすら難しいのかもしれないと、
不安になってしまう現実もある。

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